レーザーマーカーは用途で選ぶ|ステンレスの黒印字・樹脂の発色・鋼材や通い箱の識別に向く方式

「ステンレスに黒く印字したい」「樹脂の成形品にロット番号を入れたい」「通い箱やパレットに個体識別のコードを入れたい」など、レーザーマーキングのご相談は、方式からではなく用途から始まることがほとんどです。レーザーマーカーにはいくつかの種類があり、同じ素材でも何を表示したいかによって向き不向きが変わります。この記事では、加工現場で多い用途ごとに、ファイバーレーザーとCO2レーザーのどちらが向くか、どんな点に注意すべきかを整理します。

まず押さえたい2つのレーザーの違い

ファイバーレーザーは波長が短く、金属によく吸収されるため、ステンレスやアルミ、真鍮などの金属への刻印が得意です。ビームを細く絞れるので、小さな文字や2次元コードの刻印にも向いています。一方、CO2レーザーは波長が長く、金属にはほとんど吸収されませんが、アクリルや木材、紙、ガラスなどの非金属によく吸収され、彫刻や切断に向いています。

  • ファイバーレーザー:金属全般、一部の樹脂への刻印。細かい文字・コードに強い
  • CO2レーザー:アクリル・木材・紙などの彫刻や切断。金属への直接刻印は不向き

仕組みや精度の違いはファイバーレーザーとCO2レーザーの違いで詳しく比較しています。ここからは、用途別にどちらを選ぶかを見ていきます。

用途別・向いているレーザーの早見表

ステンレスに黒色で印字したい

向いているのはファイバーレーザーです。ステンレスの表面に熱で酸化膜をつくって黒く発色させる方法(黒化・アニールマーキング)を使えば、表面をほとんど削らずに黒い文字を出せます。インクを使わないため、溶剤や擦れで消えにくいのが特長です。

ただし、黒化は熱で表面の状態を変える加工のため、条件によっては錆の原因になることがあります。屋外や水回りで使う部品は、ステンレスはレーザーマーキングすると錆びる?で紹介している対策をあわせて検討してください。黒の出し方には黒化のほかに彫り込みやインク充填もあり、違いはレーザーマーキングの「黒」は3種類あるで解説しています。

樹脂の成形品に白や色をきれいに出したい

樹脂への印字は、方式よりも素材との相性が大きく影響します。同じ樹脂でも、色や添加剤の有無によって白っぽく発色するもの、黒く焦げるもの、ほとんど反応しないものがあります。ファイバーレーザーで発色しやすい樹脂もあれば、CO2レーザーで表面を彫り込むほうが見やすくなる樹脂もあります。

そのため、樹脂への印字は実物でのテスト加工が欠かせません。材質ごとの向き不向きや、焦げ・変色を防ぐポイントは樹脂・プラスチックへのレーザー刻印で詳しく紹介しています。

通い箱・パレットなど樹脂の物流資材に識別コードを入れたい

通い箱やパレットに多いポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)は、レーザーが吸収されにくく、直接刻印してもコントラストが出にくい素材です。屋外での保管や洗浄を繰り返す環境では、読み取りが不安定になることもあります。

確実に読ませたい場合は、資材に直接刻印するのではなく、アルミやステンレスのプレートにQRコードや管理番号を刻印して取り付ける方法が有効です。プレートなら素材を選べるため、屋外や洗浄にも強い表示がつくれます。QRコード銘板でトレーサビリティを強化するもご覧ください。

鋼材・金属部品に識別番号やコードを入れたい

向いているのはファイバーレーザーです。シリアル番号やロット番号、DataMatrixなどの2次元コードを、部品に直接刻印できます。1個ずつ内容が違う可変データにも対応できるため、トレーサビリティの管理に向いています。

鋳肌や黒皮、梨地など表面が粗い部品では、コードが読み取りにくくなることがあります。読める条件の考え方は部品に2次元コードを直接刻印する(DPM)、コードのサイズはQRコード刻印の最小サイズで解説しています。

半導体・精密部品に耐薬品性のある表示を入れたい

ステンレスやアルミの部品であれば、ファイバーレーザーでの刻印が候補になります。インクや塗料を使わず素材そのものを変化させるため、洗浄液や溶剤による表示の消失が起こりにくいのが利点です。使用する薬品や洗浄条件が決まっている場合は、事前に試験片で確認しておくと安心です。耐久性の確かめ方はレーザーマーキングの耐久性はどう試験する?を参考にしてください。

アクリルの銘板や表示板に文字を彫りたい

向いているのはCO2レーザーです。アクリルを彫り込んで文字を出したり、外形を切断したりできます。二層構造のアクリル板を使えば、表面の色を彫って下の色を出す、色の違う文字表示もつくれます。

打刻・電解マーキングとどちらを選ぶか

レーザー以外にも、刻印ポンチで打ち込む打刻や、電気と薬液で表面を変化させる電解マーキングといった方法があります。打刻は深く残る一方で部品に変形や応力が生じやすく、電解マーキングは設備が手軽な一方で薬液の管理が必要です。レーザーは非接触で、文字の内容を簡単に変えられる点が強みです。

インク系の印字も含めた比較は金属に印字する方法4種を比較で紹介しています。

レーザーマーカーを導入する前に、外注で試すという選択肢

レーザーマーカーは用途によって向く方式が異なり、素材との相性もテストしてみないとわからない部分があります。導入を検討している段階でも、まずは実物で加工結果を確認しておくと、方式選びの失敗を防げます。

  1. 刻印したい部品や素材のサンプルを用意する
  2. 表示したい内容(文字・コード・サイズ)と使用環境を伝える
  3. テスト加工で仕上がりと読み取りを確認する
  4. 数量や頻度に応じて、外注か自社導入かを判断する

外注と自社導入の判断ポイントはレーザーマーキング加工の外注で解説しています。

富山プレートでは、ビーム径40μmのファイバーレーザーとCO2レーザーを使い分け、金属・樹脂・お客様の支給品への刻印を1個から承っています。「この素材にこの表示ができるか」といった段階からお気軽にご相談ください。

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