樹脂・プラスチックへのレーザー刻印|材質別の向き不向きと、焦げ・変色を防ぐポイント

樹脂やプラスチックにもレーザーで刻印(マーキング)できますが、金属と比べて「きれいに発色する樹脂」と「ほとんど反応しない樹脂」の差が大きく、焦げや溶けも起きやすい素材です。この記事では、樹脂にレーザーで印字できる仕組み、材質ごとの向き不向き、焦げや変色が出る原因と対策、依頼するときのポイントを解説します。

樹脂にレーザーで印字できる仕組み

樹脂へのレーザーマーキングは、レーザーの熱で樹脂の表面を変化させて文字を表示します。変化の仕方は大きく3つに分けられます。

  • 黒く発色させる:表面をわずかに炭化させて黒い文字にする。明るい色の樹脂で使う
  • 白く発色させる:表面を細かく発泡させて白っぽい文字にする。黒や濃い色の樹脂で使う
  • 表面を彫る・はがす:表面を溶かして彫り込む、または二層板や塗装の表層だけを取り除いて下の色を出す

どの変化が起きるかは、樹脂の種類、色、添加されている顔料やフィラーによって変わります。同じ「ABS」でも、メーカーや色が違うと仕上がりが変わるのはこのためです。

ファイバーレーザーとCO2レーザーの使い分け

樹脂の加工では、レーザーの種類選びも仕上がりを左右します。

ファイバーレーザー

ビームを細く絞れるため、小さな文字や2次元コードを精細に印字できます。ただし樹脂によってはファイバーレーザーの光をあまり吸収せず、透明な樹脂や一部の樹脂では文字が出にくいことがあります。発色のしやすさは、樹脂に含まれる顔料などの影響を強く受けます。

CO2レーザー

ほとんどの樹脂によく吸収されるため、アクリルの彫刻やカット、表面を削る加工に向いています。一方で熱が広がりやすく、ファイバーレーザーほど細かな発色表現には向きません。

2つのレーザーの違いはファイバーレーザー加工とCO2レーザーの違いで詳しく解説しています。

材質別の向き不向き(一般的な傾向)

以下はあくまで一般的な傾向です。実際の仕上がりはグレードや色、添加剤で変わるため、試し打ちで確認するのが確実です。

  • ABS:比較的発色しやすく、明るい色なら黒文字、黒なら白っぽい文字を出しやすい
  • ポリカーボネート(PC):黒く発色させやすい一方、条件によっては表面が荒れやすい
  • POM(ポリアセタール):色によって白や黒に発色しやすい樹脂のひとつ
  • ナイロン(PA):グレードによって発色の差が大きい
  • PP・PE:レーザーに反応しにくく、そのままでは文字が出にくい。レーザー発色用の添加剤を入れた材料が使われることもある
  • アクリル(PMMA):ファイバーレーザーではほとんど反応しないため、CO2レーザーで彫刻するのが一般的

焦げ・変色・溶けが出る原因と対策

樹脂へのレーザー印字でよくあるトラブルは、文字のまわりの焦げ、狙った色と違う変色、表面の溶けや盛り上がりです。原因の多くは、樹脂にかかる熱が多すぎることにあります。

  • 出力が強すぎる・速度が遅すぎる:一か所に熱がたまり、焦げや溶けにつながる。出力を下げて速度を上げ、必要なら重ね打ちで濃さを出す
  • 塗りつぶしの線の間隔が狭すぎる:同じ場所を何度も加熱してしまう。線の間隔や走査の向きを調整する
  • 材料の個体差:ロットや色が変わると最適な条件も変わる。量産前に、実際に使う材料で試し打ちする

コントラストが足りない場合も、出力を上げるだけでは焦げが増えることがあります。白発色と黒発色のどちらを狙うかを決めて条件を詰めるのが近道です。レーザーで出せる「黒」の種類はレーザーマーキングの「黒」は3種類あるで解説しています。

樹脂部品に刻印を依頼するときのポイント

実物のサンプルを用意する

同じ材質名でも仕上がりが変わるため、図面や材質名だけでは判断できないことがあります。実際に使う部品や材料を数個ご用意いただくと、試し打ちで仕上がりを確認できます。

曲面や段差の位置を伝える

成形品の曲面にロット番号を入れたい、段差をまたいで印字したいといった場合は、印字位置の形状を事前にお知らせください。高さの変化に合わせて焦点を調整できる3次元制御のレーザーマーカーなら、曲面への印字にも対応しやすくなります。

1個ずつ内容が変わるかを伝える

ロット番号やシリアル番号、2次元コードなど、部品ごとに内容が変わる場合は、データの受け渡し方法も含めて相談すると効率よく進みます。銘板の可変データ刻印も参考にしてください。

富山プレートの樹脂へのレーザー刻印

富山プレート(富山県上市町)では、ファイバーレーザー、CO2レーザー、3次元制御に対応したレーザーマーカーを使い分け、樹脂部品や樹脂銘板への刻印を行っています。お客様の部品に直接刻印する支給材加工も1個から承ります。支給材への刻印は支給材への刻印サービスを、樹脂で銘板を作る場合は樹脂銘板(アクリル・二層板)の選び方をご覧ください。

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