ステンレスのレーザー彫刻|黒色印字との違い、深さの目安と色入れ・仕上がりの注意点

ステンレスにレーザーで文字やロゴを入れる方法には、表面を黒く変色させる「黒色印字」と、表面を削って溝をつくる「彫刻(彫り込み)」があります。どちらも「レーザー刻印」と呼ばれることがありますが、見た目も、消えにくさも、かかる時間も違います。この記事では、ステンレスのレーザー彫刻について、黒色印字との違い、深さの目安、インクを入れる色入れ、仕上がりで注意したい点を、銘板メーカーの富山プレートが解説します。

ステンレスへのレーザー加工は仕上がりが3種類

黒色印字(焼き付け)

レーザーの熱で表面を酸化させ、黒〜濃い茶色に変色させる方法です。表面をほとんど削らないため、手で触っても段差はありません。くっきりとした黒い文字になり、細かい文字やQRコードにも向いています。加工が速く、銘板や部品の表示で最もよく使われる仕上がりです。

浅い彫り込み

表面をわずかに削って、白〜灰色の表示にする方法です。黒色印字ほどのコントラストはありませんが、素材の色に近い落ち着いた見た目になります。

深彫り(彫刻)

レーザーを何度も重ねて照射し、目で見て分かる深さの溝をつくる方法です。指でなぞると凹凸を感じられます。溝にインクを入れて色を付けることもできます。

「黒」の出し方の違いはレーザーマーキングの「黒」は3種類ある、印字・刻印・彫刻という言葉の違いは印字と刻印の違いで整理しています。

レーザー彫刻の深さの目安

彫り込みの深さは、レーザーの出力、速度、照射の回数で調整します。深さはおおむね次のように考えると分かりやすくなります。

  • 黒色印字:深さはほとんどありません。表面の色が変わるだけです。
  • 浅い彫り込み:数μm〜数十μm程度。見た目では段差がほとんど分かりません。
  • 色入れを前提とした彫刻:インクが溝に残る深さが必要で、0.1mm前後が一つの目安になります。
  • それ以上の深彫り:照射を重ねればさらに深くできますが、時間が大きく増えます。

レーザー彫刻は、深さに比例して加工時間が延び、その分コストも上がります。また、ステンレスは熱が逃げにくいため、深く彫るほど周囲の焼けや変形が出やすくなります。必要以上に深くしないことが、仕上がりとコストの両方で大切です。

深彫りを選ぶべきケース

  • 表面を研磨する、塗装を塗り直すなど、表面が削られたり覆われたりしても表示を残したい
  • 工具や手で繰り返しこすられ、黒色印字では摩耗が心配な場所
  • 溝にインクを入れて、黒以外の色で表示したい
  • 寄贈銘板や記念プレートのように、彫った質感そのものを見せたい
  • 暗い場所や視覚に頼れない場面で、触って分かる表示にしたい

屋内の機械に貼る銘板や、細かい文字・QRコードを読ませたい部品であれば、黒色印字で十分なことが多く、加工時間も短く済みます。

色入れ(インク充填)の仕上がり

彫った溝にインクを入れ、表面の余分なインクを取り除くと、溝の中だけに色が残ります。黒のほか、赤や白などの色も選べます。インクが溝の中に収まっているため、表面に印刷したものより擦れに強くなります。

ただし、インクそのものは紫外線や溶剤で劣化することがあります。屋外や薬品がかかる場所では、インクの種類と、劣化したときに入れ直せるかもあわせて検討してください。

レーザー彫刻で注意したい点

周囲の焼け・変色

深く彫るほど熱がこもり、文字のまわりに黄色や青の焼け色が出ることがあります。ヘアラインや鏡面の素材では目立ちやすいため、見た目を重視する銘板では条件の調整や後処理が必要です。

溝の縁の盛り上がり

溶けた金属が溝の縁に盛り上がることがあります。触れる場所にある銘板や、上から別の部品を重ねる場合は、研磨で平らにするなどの処理を検討します。

錆への影響

ステンレスは表面の不動態皮膜によって錆を防いでいます。レーザーの熱でこの皮膜が変化すると、印字部分から錆が出やすくなることがあります。屋外や水回りで使う場合は、条件の選び方や後処理を含めて確認が必要です。詳しくはステンレスはレーザーマーキングすると錆びる?をご覧ください。

薄板のゆがみ

板厚が薄い銘板に深彫りをすると、熱で板が反ることがあります。深く彫りたい場合は、板厚に余裕を持たせるのが基本です。板厚の目安は銘板の板厚の選び方で紹介しています。

レーザー以外の彫刻方法との比較

  • 腐食エッチング:薬品で金属を溶かして凹みをつくる方法です。広い面積を均一な深さで彫るのが得意ですが、版をつくるため小ロットでは割高になります。
  • 機械彫刻(切削):刃物で削る方法です。深い彫りや立体的な彫刻に向きますが、細かい文字や複雑な形には限界があります。
  • 打刻:刻印を打ち込んで凹ませる方法です。速く深い刻印ができますが、表示内容の自由度が低く、薄板では変形の心配があります。

ステンレスへの刻印方法全体の比較はステンレス刻印の方法と選び方にまとめています。

富山プレートのステンレスへのレーザー彫刻

富山プレート(富山県上市町)では、ステンレスの銘板や部品への黒色印字、彫り込み、インクを入れる色入れまで、1枚から製作しています。最近は、ステンレス製の大型の案内看板や寄贈銘板のご依頼も増えています。用途や設置場所をお知らせいただければ、黒色印字で足りるか、深彫りが必要かを含めて仕上がりをご提案します。お客様の部品へのレーザー刻印にも対応していますので、図面や写真を添えてご相談ください。お問い合わせはお問合せフォームから承ります。

お問合せ お問合せ