印字と刻印の違い|マーキング・彫刻との使い分けを加工方法別に整理

印字は、文字や記号を対象物に「表示する」こと全般を指す言葉です。刻印は、素材そのものを彫る・打つなどして「凹凸として刻む」ことを指します。インクを載せる方法は印字、素材を削る方法は刻印、と分けるのが基本ですが、レーザー加工では両方の言葉が同じ加工に使われることも多く、見積り依頼の行き違いの原因になります。この記事では、印字と刻印の違いに加え、マーキング・彫刻・打刻といった近い言葉の関係を、加工方法ごとに整理します。

印字と刻印の基本的な違い

印字:表示を付けること全般

印字は、インクジェット、スタンプ、熱転写、レーザーなど、手段を問わず文字や記号を付ける行為を広く指します。日付やロット番号のように、情報を表示することに重点がある言葉です。インクを素材の表面に載せる方法の場合、摩擦や溶剤で消えることがあります。

刻印:素材を変形・除去して刻むこと

刻印は、素材の表面を物理的に変化させて表示を残す方法です。金型やピンで叩いて凹ませる、刃物で削る、レーザーで彫り込む、といった加工がこれにあたります。表示が素材そのものにできているため、インクのように剥がれることがありません。

関連する用語の整理

  • マーキング:印字と刻印の両方を含む総称。方法を限定せずに「表示を付ける加工」を指す
  • 打刻:金型やピンを打ち付けて凹ませる刻印。塗装やめっきの後でも読める深さを作りやすい
  • 彫刻:刃物やレーザーで素材を削って溝を作る方法。樹脂銘板では、溝に塗料を入れて文字を見やすくすることが多い
  • エッチング:薬品で金属を溶かして凹凸を作る方法。レーザーで表面を浅く除去する加工をこう呼ぶこともある。レーザーエッチングとはで違いを整理している
  • 印刷:インクを素材の表面に載せる方法。フルカラーで表現できる

レーザーでは「印字」と「刻印」が重なる

レーザーマーキングは、レーザーの熱で素材の表面を変化させて表示を作る加工です。その変化のさせ方には、大きく3つあります。

  • 発色:表面を削らず、熱で色を変える。ステンレスを黒く発色させる加工が代表例
  • 表面層の除去:表面を浅く削って彫り込む。一般に刻印と呼ばれるのはこの加工
  • 皮膜の剥離:塗装やアルマイトなど表面の層だけを取り除き、下の素材の色を出す

発色はほとんど凹凸ができないので「印字」に近く、表面層の除去は溝ができるので「刻印」にあたります。ところが実際の現場では、どの方式でも「レーザー印字」「レーザー刻印」「レーザーマーキング」と呼ばれており、言葉だけでは方式を区別できません。黒く見せる方法の違いはレーザーマーキングの「黒」は3種類ある、金属ごとの仕上がりは金属へのレーザーマーキングで解説しています。

見積り依頼では言葉より条件を伝える

「刻印でお願いします」と依頼しても、相手が思い浮かべる加工が同じとは限りません。用語を選ぶよりも、次の条件を伝えるほうが確実です。

  • 凹凸が必要か:指で触ってわかる深さが要るのか、見えれば十分なのか
  • 色:黒、白、素材の地色のどれで見せたいか
  • 何から守りたいか:摩擦、溶剤、熱、屋外の紫外線など、表示が消える原因になりそうなもの
  • 後工程:加工の後に塗装、めっき、洗浄があるか
  • 素材:ステンレス、アルミ、真鍮、樹脂など
  • 内容:全数同じか、製造番号やQRコードのように1個ずつ違うか

表示が消える原因と対策はレーザーマーキングが消える原因と対策にまとめています。

用途別の選び方の目安

  • 出荷までの一時的な表示(検査印、仮のロット番号):スタンプやインクジェットによる印字
  • 製品の寿命まで残したい型式・製造番号:レーザーマーキング
  • 塗装やめっきの後でも読める必要がある:打刻、またはレーザーでの深い彫り込み
  • ロゴや警告色などフルカラーの表示:UV印刷
  • 屋外で長期間、細かい文字やコードを保ちたい:メタルフォト

インクを使う方法とレーザーの違いを費用や消えにくさで比べたい場合は、金属に印字する方法4種を比較が参考になります。

富山プレートの対応

富山プレート(富山県上市町)では、レーザーマーキング(発色・彫り込み・皮膜の剥離)、UV印刷、メタルフォトを使い分けて、銘板や部品への表示を1個から加工しています。お手持ちの部品に直接加工する支給材への刻印サービスも行っています。「印字」と「刻印」のどちらで依頼すべきか迷う場合は、素材と使用環境を添えてお問合せフォームからご相談ください。適した方法をご提案します。

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