技術コラム Column
耐熱銘板の選び方|高温になる炉・エンジン・機械で消えない素材と取り付け方法

乾燥炉や熱処理炉、ボイラー、エンジン、油圧ユニットなど、高温になる機械や設備に付けた銘板は、熱によって文字が変色したり、銘板そのものが剥がれ落ちたりすることがあります。この記事では、高温で銘板に起こる劣化の仕組みと、熱に強い素材・表示方法・取り付け方法の選び方を、温度の高さごとに解説します。
高温になると銘板に何が起こるか
- インクや樹脂の変色・焦げ:印刷インクや樹脂製の銘板は、熱で黄変・褐色化し、高温では軟化・変形します。
- 粘着剤の軟化:熱で粘着剤がやわらかくなり、銘板がずれたり剥がれ落ちたりします。高温環境では、表示より先に粘着が限界を迎えることがほとんどです。
- 皮膜のひび割れ:アルマイトなどの表面皮膜と下地の金属は熱による伸び縮みの量が異なるため、加熱と冷却を繰り返すと細かいひび割れが出ることがあります。
- レーザーの黒色表示の色変化:ステンレスをレーザーで黒く発色させる方式は、表面の酸化膜で色を出しているため、高温にさらされると色味が変わることがあります。
- 取り付け部の緩み:加熱と冷却の繰り返しで、ビスの緩みや取り付け穴まわりの変形が起きます。
温度の高さごとの考え方
手で触れられる程度の温度(制御盤の内部、モーター周辺など)
一般的な金属銘板で対応できる温度帯です。樹脂銘板やシールも選択肢になりますが、熱源に近い場所では粘着剤の耐熱温度を確認しておきましょう。
手で触れられないほど熱くなる面(乾燥炉の外壁、エンジン周辺、油圧ユニットなど)
樹脂やインクを使った表示は避け、金属素材に表示が一体化した銘板を選びます。粘着だけで固定すると剥がれやすいため、リベットやビスによる固定が基本です。
さらに高温になる部位(炉体、排気まわりなど)
表面の色で文字を見せる方式は、熱で色が変わると読めなくなるおそれがあります。ステンレスに文字を深く彫り込む方法や打刻など、色が変わっても凹凸で読める表示方法を検討します。
どの温度帯にあてはまるか判断が難しい場合は、取り付け面の表面温度の最高値と、加熱・冷却を繰り返す頻度をお知らせいただければ、仕様をご提案します。
熱に強い素材と表示方法
- ステンレス+レーザーの彫り込み:素材そのものに文字を彫るため、インクや粘着の劣化がありません。黒く発色させる方式と異なり、表面が酸化して色が変わっても、凹凸で文字を読み取れます。レーザーで出せる「黒」の違いはレーザーマーキングの「黒」は3種類あるで解説しています。
- アベルブラック(黒色ステンレス)+レーザー刻印:耐候性・耐薬品性に加え、高温への耐性も特長のひとつです。黒地に文字がはっきり出るため、視認性も確保できます。詳しくはアベルブラック銘板とはをご覧ください。
- メタルフォト:耐熱性・耐薬品性・耐摩耗性に優れたアルミ銘板です。高い解像度を活かして、細かい仕様表や警告表示も表現できます。詳しくはメタルフォトとはをご覧ください。
- 打刻(刻印):金属に文字を打ち込む方法で、表面の色に頼らないため高温部でも読めます。各方式の比較は金属に印字する方法4種を比較をご覧ください。
- 樹脂銘板・シール:低温の場所に限って使用します。熱源の近くでは変形・剥がれのリスクが高くなります。
耐熱性だけでなく、耐候性・耐薬品性もあわせて比べたい場合は銘板の耐環境性能を徹底比較、素材ごとの寿命の目安は銘板の耐用年数はどれくらい?をご覧ください。
取り付け方法が銘板の寿命を決める
高温環境では、銘板本体よりも取り付け部分が先に傷むことが少なくありません。次の点に注意して取り付け方法を決めましょう。
- 粘着より機械的な固定:リベットやビスで固定すれば、粘着剤の軟化による剥がれを防げます(銘板のリベット止め)
- 伸び縮みを逃がす穴:銘板と取り付け面の素材が異なると、熱で伸び縮みする量に差が出ます。大きな銘板では長穴にして動きを逃がします(銘板の穴加工)
- 異なる金属の組み合わせ:アルミの銘板を鉄の設備に取り付けるなど、異なる金属が接すると、湿気のある環境では腐食が進むことがあります。素材の組み合わせも確認しましょう
取り付け方法全般は銘板の取り付け方法と固定方法の選び方で解説しています。
発注時にお知らせいただきたいこと
- 取り付け面の表面温度(常に使う温度と最高温度)
- 加熱と冷却を繰り返す頻度
- 油・煙・薬品・水蒸気など、熱以外の環境条件
- 取り付け面の素材と形状(平面・曲面、穴あけの可否)
- 表示を読めるようにしておきたい年数
富山プレートの耐熱銘板
富山プレートは、富山県上市町で50年以上銘板を製造してきたメーカーです。ステンレスへのレーザー刻印、アベルブラック、メタルフォトなど、高温の環境でも消えにくい表示方法を、温度と使用条件に合わせてご提案します。
- 1枚からの試作に対応しているため、実際の設備に取り付けて確認してから量産に進めます
- リベット穴・長穴などの穴加工も含めて一貫して製作します
- 熱で読めなくなった既存の銘板の作り直しも承ります(銘板の文字が消える・読めないときのリニューアル方法)
現在お使いの銘板の写真と、取り付け場所の温度の目安をお知らせいただければ、最適な仕様をご提案します。お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。