技術コラム Column
薄板部品の工法比較|レーザー・エッチング・プレス・ワイヤー放電の使い分け

薄板部品の工法比較|レーザー・エッチング・プレス・ワイヤー放電の使い分け
0.1mmを下回るような薄い金属板から部品を作るとき、どの工法を選ぶかで精度・コスト・納期のすべてが変わります。しかし工法ごとに得意分野が異なり、しかもそれぞれの加工業者が自社の得意な工法を勧めるため、発注する側からは比較が難しいのが実情です。
このコラムでは、薄板部品の代表的な4つの工法について、それぞれの原理と長所・短所を整理します。富山プレートはレーザー加工を主力としていますが、レーザーにも明確な弱点があります。判断に必要な情報として、その点も含めて解説します。
4つの工法の基本原理
レーザー加工
レーザー光を照射し、金属を溶融・蒸発させて切断する非接触の加工方法です。金型や電極が不要で、データさえあれば加工に入れます。ファイバーレーザーはビーム径を細く絞れるため、微細形状の加工に適しています。
エッチング(フォトエッチング・腐食加工)
金属板に感光性の膜を形成し、写真製版の要領でパターンを転写したうえで、薬液によって不要部分を溶かし落とす化学的な加工方法です。力も熱も加えないため、極薄材でも変形が起きにくいのが特徴です。
プレス加工
金型を使って板材を打ち抜く加工方法です。1回の動作で成形が完了するため、量産では圧倒的に速く、単価も下がります。
ワイヤー放電加工
細い金属ワイヤーと加工物のあいだに放電を起こし、その熱で材料を溶かしながら切り進める加工方法です。硬い材料や板厚のある材料でも、高い寸法精度で切断できます。
工法ごとの長所と短所
レーザー加工の長所
- 金型・製版が不要なため、初期費用がかからず1個から製作できる
- データ変更のみで形状修正できるため、試作の繰り返しに強い
- 薬液を使わないため廃液が発生せず、環境負荷が低い
- 切断と同時に文字・目盛り・コードのマーキングまで一括で行える
レーザー加工の短所
ここは正直にお伝えすべき部分です。レーザーは熱で切断する工法である以上、次のような特性があります。
- 断面にわずかなテーパーが生じる:表面側から照射するため、裏面の開口部がやや小さくなります。板厚が薄いほど影響は小さくなりますが、完全な垂直断面にはなりません
- 熱の影響を受ける:形状や加工密度によっては、熱による歪みや反りが出る可能性があります
- 端面に微小な付着物が残ることがある:スパッタと呼ばれる溶融物の再付着です
- 量産では1個ずつの加工になる:数量が増えるほど加工時間が比例して増えます
富山プレートでは、CCDカメラによる位置検出とビーム径40μmの微細ファイバーレーザーによって、これらの影響を最小限に抑える加工条件を確立しています。ただし「熱の影響がゼロ」ということはありません。要求精度によっては他工法が適切な場合もあります。
エッチングの長所と短所
長所は、熱も力も加えないため極薄材でも歪みが出にくいこと、厚み方向のバリが発生しないこと、そして多数の穴やパターンを一度に加工できるため量産で効率が上がることです。メッシュ状のフィルターや多穴パターンは、エッチングが得意とする代表例です。
短所は、製版(フォトマスク)が必要なため初期費用と準備期間がかかること、形状変更のたびに製版をやり直す必要があること、そして薬液の廃液処理が発生することです。断面は薬液が横方向にも回り込むため、独特の丸みを帯びた形状になります。
プレス加工の長所と短所
量産における単価と速度は他工法の追随を許しません。一方で金型製作に相応の初期投資と期間が必要で、少量では単価が跳ね上がります。また物理的な力を加えるため、条件によってはバリや歪みが発生し、バリ取り工程が追加になることもあります。薄板では特に、金型精度の管理が仕上がりを左右します。
ワイヤー放電加工の長所と短所
焼入れ材のような硬い材料でも高精度に加工でき、断面の直角度に優れます。一方で加工速度は遅く、コストは高めです。またワイヤーを通すための下穴が必要なため、閉じた内形状の加工には制約があります。極端に薄い材料では、加工中の保持が難しくなる場合もあります。
選定の判断基準
実務では、次の順序で絞り込むとスムーズです。