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DataMatrix(データマトリックス)とは|構造・サイズと文字数の目安・GS1・金属へのレーザー刻印

DataMatrix(データマトリックス)は、白黒の正方形のセルを並べて情報を表す2次元コードの一種です。小さな面積に情報を詰め込めるため、電子部品、自動車部品、医療機器など、表示スペースの限られた部品に直接刻印する用途で広く使われています。この記事では、DataMatrixの構造、入る情報量とサイズの目安、GS1 DataMatrixとの違い、そして金属へのレーザーマーキングで読み取りやすく仕上げるポイントを解説します。
DataMatrixとは
DataMatrixは、1980年代に米国で開発された2次元コードで、現在はISO/IEC 16022として国際規格になっています。いま流通しているDataMatrixのほとんどは「ECC200」と呼ばれる方式で、誤り訂正の機能があらかじめ組み込まれています。
QRコードが日本で生まれ、スマートフォンで読む用途に広く普及したのに対し、DataMatrixは製造業の部品管理や医療分野で使われてきた歴史があります。どちらを選ぶべきかの比較はQRコードとDataMatrixの違いで詳しく解説しています。この記事ではDataMatrixそのものの仕組みに絞って説明します。
DataMatrixの構造
DataMatrixは、外周と内側のデータ領域でできています。
ファインダパターン(L字の実線)
コードの隣り合う2辺は、黒いセルがつながったL字の実線になっています。リーダーはこのL字を手がかりに、コードの位置と向き、傾きを判別します。
タイミングパターン(白黒交互の2辺)
残りの2辺は白と黒のセルが交互に並んでいます。リーダーはこのパターンから、縦横に何セル並んでいるかを数えます。
データ領域
内側のセルに、文字や数字の情報と、誤り訂正用のデータが格納されています。誤り訂正にはリードソロモン方式が使われ、コードの一部が汚れたり欠けたりしても、残りの部分から情報を復元できます。
クワイエットゾーン(余白)
コードの周囲には、読み取りに必要な余白を確保します。DataMatrixは1セル分の余白で読めるとされ、4セル分の余白が必要なQRコードより、余白を含めた全体を小さくしやすいのが特長です。
入る情報量とサイズの目安
DataMatrixは、入れる文字数によって縦横のセル数(シンボルサイズ)が変わります。正方形では10×10セルから144×144セルまで、長方形のタイプもあります。小さいサイズでの格納量の目安は次のとおりです。
- 10×10セル:数字6桁、英数字3文字程度
- 14×14セル:数字16桁、英数字10文字程度
- 16×16セル:数字24桁、英数字16文字程度
- 20×20セル:数字44桁、英数字31文字程度
- 最大(144×144セル):数字3,116桁、英数字2,335文字
実際の大きさは「セル数 × 1セルの大きさ」で決まります。たとえば16×16セルのコードを1セル0.3mmで刻印すると、コード本体は約4.8mm角になります。英数字16文字程度のシリアル番号であれば、5mm角前後に収められる計算です。
ただし、セルを小さくするほど、刻印の精度とリーダーの性能が求められます。部品の表面状態によっても読める限界は変わるため、量産の前に実物で読み取りを確認することをおすすめします。2次元コードのサイズの考え方はQRコード刻印の最小サイズもあわせてご覧ください。
GS1 DataMatrixとは
GS1 DataMatrixは、DataMatrixの中に、国際的な流通標準であるGS1のルールに沿ってデータを格納したものです。コードの見た目は通常のDataMatrixと同じですが、先頭に特別な識別記号を入れ、「商品コード」「ロット番号」「使用期限」「シリアル番号」などをアプリケーション識別子(AI)という決まった番号で区切って格納します。
医療機器や医薬品の個体識別、自動車部品の取引など、業界や取引先からGS1形式を指定されるケースがあります。指定がある場合は、格納するデータの並びを事前に取引先と確認しておく必要があります。
DataMatrixが使われている主な分野
- 電子部品・基板:表示スペースが数mm角しかない部品の個体管理
- 自動車部品:部品への直接刻印による生産履歴の追跡
- 医療機器・手術器具:洗浄・滅菌を繰り返しても読める個体識別
- 航空宇宙:部品の長期にわたるトレーサビリティ
- 工作機械・産業機械:部品や工具の管理番号
いずれも、ラベルを貼るのではなく部品そのものにコードを刻む「ダイレクトパーツマーキング(DPM)」の用途で選ばれています。部品への直接刻印で読み取りやすく仕上げる条件は部品に2次元コードを直接刻印する(DPM)で解説しています。
金属へのDataMatrixのレーザーマーキング
DataMatrixを金属に刻印する方法として、現在主流なのがファイバーレーザーによるマーキングです。インクを使わないため消えにくく、1個ずつ内容の違うシリアル番号も、データを切り替えながら連続して刻印できます。
ステンレス:黒色マーキング
ステンレスにレーザーで熱を加えると、表面に黒い酸化皮膜ができます。表面をほとんど削らずに黒いセルを作れるため、平滑な面では明暗差のはっきりしたコードになります。マーキング後の錆の考え方はステンレスはレーザーマーキングすると錆びる?をご覧ください。
アルミ:アルマイトの除去・白色化
黒アルマイトのアルミでは、レーザーで皮膜を除去して白いセルを作り、黒地に白のコードにします。生アルミでは黒くしにくいため、素材の選び方が読み取りやすさを左右します。詳しくはアルミへのレーザーマーキングで解説しています。
アベルブラック:黒地に白く刻む
黒色ステンレスのアベルブラックにレーザーで刻むと、黒地に白いセルがはっきり出ます。ステンレスの強度とコントラストを両立したい場合に向いています。
読み取りやすいDataMatrixにするポイント
- セルの大きさは、使うリーダーに合わせる:小さくしすぎると、刻印できても現場のリーダーで読めないことがある
- 明暗差を確保する:素材と刻印方法の組み合わせで、黒と白の差をはっきりさせる
- 余白を確保する:部品の縁や他の刻印文字がコードに近づきすぎないようにする
- 表面を整える:鋳肌やブラスト面など凹凸の大きい面は、刻印前の下地処理を検討する
- DPM対応のリーダーを使う:金属に直接刻んだコードは光を反射しやすく、一般的なリーダーでは読みにくい場合がある
読み取り機器の選び方は金属に刻印したQRコードを読む機器の選び方で紹介しています。
富山プレートのDataMatrix刻印
富山プレートでは、ファイバーレーザーによるDataMatrixやQRコードの刻印を、銘板・プレートの製作と、お客様からお預かりした部品への直接刻印の両方で承っています。ステンレス、アルミ、アベルブラックなど素材に合わせて刻印条件を調整し、1個から対応しています。
- Excelの一覧表から、1個ずつ内容の違うシリアル番号を刻印
- QRコードとDataMatrixのどちらが適しているかのご相談にも対応
- 部品への直接刻印は、試し刻印で読み取りを確認してから量産に進める
部品への刻印については支給材への刻印サービス、2次元コード製品についてはQRコードプレート製作のページもご覧ください。サイズや素材のご相談はお問い合わせからお気軽にどうぞ。