銘板のRoHS・REACH対応|調達担当者が確認すべきポイントと材料証明の考え方

銘板のRoHS・REACH対応|調達担当者が確認すべきポイントと材料証明の考え方

装置一式の環境規制対応を進めていると、意外な盲点になるのが銘板やラベルです。本体の主要部品については材料証明を揃えていても、「銘板は部品表に載っていなかった」「ラベルの粘着材まで確認していなかった」というケースは珍しくありません。

ところが、海外へ輸出する装置や、環境規制への対応を求める取引先へ納入する製品では、構成する部材のすべてが確認対象になり得ます。出荷直前になって銘板の証明書がないことに気づき、慌てて調達先に問い合わせる——この手戻りは避けたいところです。

この記事では、銘板・ラベルまわりで環境規制対応を進めるときに、どこに注意し、何を確認すればよいのかを整理します。

そもそもなぜ銘板が確認対象になるのか

RoHS指令やREACH規則といった環境規制は、特定の有害物質の使用や含有に関するルールです。対象となるのは製品全体であり、「主要部品だけ」「機能部品だけ」という切り分けはされません

銘板は製品に恒久的に取り付けられ、出荷後も製品の一部として存在し続けます。つまり、装置を構成する部材のひとつとして扱われるのが自然です。表示のための小さな部品であっても、確認の網から外れるわけではありません。

また、実務上より切実な理由もあります。取引先から環境調査票への回答を求められたとき、銘板を含むすべての購入部材について情報を集める必要が生じるためです。ここで調達先から回答が得られないと、調査票そのものが完成しません。

銘板・ラベルで確認が必要になる構成要素

銘板は一枚の板に見えても、実際には複数の要素で構成されています。それぞれが確認の対象になり得ます。

基材(素材そのもの)

ステンレス、アルミ、真鍮、樹脂など、銘板の本体となる材料です。金属材料の場合、材料メーカーが発行する情報が確認の出発点になります。

表面処理・皮膜

アルマイト処理、発色処理、めっき、塗装など、素材表面に施された処理層です。処理の種類によって使用される薬剤が異なるため、基材とは別に確認が必要になります。

インク・着色材

印刷銘板の場合、使用するインクが確認対象です。エッチング銘板でインクを充填している場合も同様です。

接着材・粘着材

見落とされやすいのがここです。銘板を貼り付ける両面テープや接着紙は、粘着材そのものに加えて、基材フィルムやセパレーター(剥離紙)まで含めた構成になっています。

その他の付随部材

ビス、リベット、保護フィルムなど、銘板とともに納入される部材があれば、それらも整理しておく必要があります。

銘板を構成する基材・表面処理・インク・接着材の各要素

加工方法によって確認範囲が変わる

ここが実務上もっとも重要なポイントです。同じ銘板でも、どの工法で作るかによって、確認しなければならない要素の数が変わります。

レーザーマーキングの場合

レーザーマーキングは、素材の表面を溶かす・焦がす・酸化させるといった方法で、素材そのものを変化させて表示を形成します。インクや塗料を使わないため、確認対象は基材と表面処理に絞られます

構成要素が少ないということは、集めるべき情報も少ないということです。環境規制対応の観点では、工法の選択がそのまま管理負担の大小につながります。銘板刻印の加工方法とはで各工法の違いを解説しています。

印刷の場合

UV印刷やシルク印刷では、基材・表面処理に加えてインクの確認が必要になります。多色刷りであれば、色ごとに情報を揃えることになる場合もあります。

貼付する場合とビス留めする場合

粘着材で貼り付ける仕様にすると、接着紙の構成要素が確認範囲に加わります。ビス留めであれば粘着材は不要になりますが、代わりにビスが対象になります。銘板の取り付け方法を検討する際、環境規制対応の観点も判断材料に加えると、後の手間が変わります。

調達段階で確認しておきたいこと

銘板を発注する側として、事前に押さえておくと手戻りが減るポイントを挙げます。

  1. 自社の要求内容を明確にする:どの規制に対する、どの様式の情報が必要なのかを先に固める
  2. 要求を発注時点で伝える:納品後に依頼すると、材料の遡及調査が発生して時間がかかる
  3. 構成要素ごとに整理する:基材・表面処理・インク・粘着材のどれについての情報が必要かを分けて伝える
  4. 回答に要する期間を確認する:材料メーカーへの照会が必要な場合、即日回答はできない
  5. 仕様変更時の再確認を想定する:素材や工法を変更すれば、証明も取り直しになる

特に重要なのが2番目です。設計段階で環境規制対応の要否がわかっているなら、見積依頼の時点で伝えてください。後出しになるほど、対応にかかる時間もコストも増えます。

工法の選択で管理を軽くするという発想

環境規制への対応は、書類を集める作業だと捉えられがちです。しかし実際には、設計段階での選択によって、そもそも管理すべき対象を減らせます。

たとえば、印刷銘板を貼付する仕様から、ステンレスへのレーザーマーキングをビス留めする仕様に変更すれば、インクと粘着材という2つの構成要素が確認範囲から外れます。管理対象が減れば、調査票への回答も、仕様変更時の再確認も軽くなります。

もちろん、フルカラー表示が必要な場合や、ビス穴を設けられない場合には印刷や貼付が最適解になります。要件を満たしたうえで構成をシンプルにできないか、という視点で工法を見直してみる価値はあります。

あわせて銘板のコストダウン方法5選もご覧ください。工法の見直しは、環境規制対応の負担軽減とコスト削減の両方に効くことがあります。

誤解しやすい点

「金属だから問題ない」とは限らない

金属素材であっても、表面処理や合金成分の確認は必要です。素材の種類だけで判断せず、構成要素ごとに確認するという原則は変わりません。

「小さい部品だから対象外」ではない

面積や重量の小ささが確認対象から外れる理由になるとは限りません。判断基準は規制の内容と製品の分類によって異なるため、自社の適合判断の枠組みに沿って確認してください。

規制内容は改定される

環境規制の対象物質や要求事項は、改定によって変わります。過去に取得した情報がそのまま有効とは限らないため、最新の要求に対して情報が足りているかを定期的に見直す必要があります。

まとめ

銘板の環境規制対応で押さえるべきは、次の3点です。

  • 銘板も装置を構成する部材のひとつであり、確認対象になり得る
  • 確認範囲は基材・表面処理・インク・接着材といった構成要素ごとに整理する
  • 工法の選択によって、管理すべき構成要素の数そのものを減らせる

そして最大のポイントは、設計・見積の段階で要求を伝えることです。出荷直前の発覚がもっとも高くつきます。

富山プレートでは、ステンレス・アルミ・樹脂など各種素材への加工に対応しており、レーザーマーキングを中心とした構成のシンプルな銘板製作を得意としています。「この仕様で環境規制の要求に応えられるか」といったご相談も含めて、お問い合わせよりお気軽にご連絡ください。

発注時の確認事項全般については銘板発注前チェックリスト10項目もあわせてご覧ください。

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