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QRコードとDataMatrixの違い|金属部品にはどちらを刻印すべきか

QRコードとDataMatrixの違い|金属部品にはどちらを刻印すべきか
部品や機械にコードを直接刻印してトレーサビリティを確保する取り組みが広がっています。その際に必ず出てくるのが、「QRコードとDataMatrix(データマトリックス)のどちらを使うべきか」という問題です。
見た目は似ていますが、この2つは規格も構造も異なり、向いている用途もはっきり分かれます。選択を間違えると、刻印スペースが足りない、現場のリーダーで読めない、といった問題が後から発覚します。このコラムでは、銘板・刻印を46年手がけてきた富山プレートが、加工する側の視点から両者の違いと選び方を整理します。
QRコードとDataMatrixの基本的な違い
どちらも縦横の二方向に情報を持つ「二次元コード」です。一次元のバーコードに比べて同じ面積に多くの情報を格納でき、汚れや欠損があっても復元できる誤り訂正機能を備えている点は共通しています。
QRコード
日本で開発された二次元コードで、国際規格としても標準化されています。最大の特徴は、コードの三隅に配置された正方形の切り出しシンボル(ファインダパターン)です。この目印によって、どの向きから読み取っても瞬時に位置と角度を判別できます。
誤り訂正のレベルを4段階から選べるため、汚れやすい環境では訂正能力の高い設定にする、といった調整が可能です。また、スマートフォンの標準カメラで読み取れることが、産業用途以外でも普及した最大の理由です。
DataMatrix
こちらも国際規格化された二次元コードで、現在流通しているのはECC200と呼ばれる方式です。コードの隣り合う2辺が実線のL字、残る2辺が白黒交互のパターンという構造をしており、この形状で位置と大きさを判別します。
誤り訂正はリードソロモン方式が固定で組み込まれており、レベル選択はありません。航空宇宙・自動車・医療機器といった部品直接マーキングの分野で広く採用されてきた実績があります。
金属への刻印で差が出る4つのポイント
1. 必要な面積
部品への直接刻印では、コードを置ける面積が最大の制約になります。この点でDataMatrixが有利です。理由は2つあります。
- コード周囲に必要な余白(クワイエットゾーン)が、QRコードより狭くて済む
- 格納するデータ量が少ない場合、より小さなセル構成で収まる
シリアル番号やロット番号のように十数文字程度を持たせるだけなら、同じ情報量でもDataMatrixのほうが小さく作れます。狭小部品や、既存の銘板レイアウトに後から追加する場合には大きな差になります。
2. 読み取り機器の前提
一方でQRコードには、スマートフォンで読めるという決定的な強みがあります。保守担当者が現場で機械の取扱説明ページを開く、点検履歴にアクセスする、といった用途では、専用リーダーを配らずに運用できる点が効いてきます。
DataMatrixは産業用コードリーダーでの読み取りが前提です。特に金属に直接刻印したコードは、紙ラベルに比べてコントラストが低く、表面の反射も加わるため、直接刻印(DPM)に対応したリーダーが必要になります。導入済みの読み取り環境がどちらに対応しているかを、コード選定より先に確認してください。
3. 欠損・摩耗への強さ
QRコードは三隅の切り出しシンボルを手がかりに位置を判別するため、この部分が摩耗したり塗料で埋まったりすると、コード本体が無事でも読み取れなくなります。DataMatrixはL字の実線部分が同様の役割を担います。
どちらも誤り訂正でデータ部分の欠損はある程度カバーできますが、位置検出部分の損傷には弱いという点は共通です。摩耗の激しい箇所に刻印する場合は、コードの種類よりも設置位置と加工方法の選定のほうが重要になります。
4. 情報量の上限
格納できる文字数の上限はQRコードのほうが大きく設定されています。ただし実務上、部品刻印で数千文字を格納することはほとんどありません。URLや管理番号を持たせる程度であれば、どちらの上限にも余裕があります。情報量よりも、前述の面積とリーダー環境で判断するほうが現実的です。
用途別の選び方
ここまでを整理すると、次のような使い分けになります。
- 機械の銘板に付けて、保守担当者がスマートフォンで読む → QRコード
- 小さな部品に刻印し、産業用リーダーで自動読み取りする → DataMatrix
- 取引先から指定がある → 指定に従う(自動車・医療機器分野ではDataMatrixが指定されることが多い)
- 刻印できる面積が極端に狭い → DataMatrix
- 読み取り環境が未整備、または不特定多数が読む → QRコード
実際の運用では、機械本体の銘板にはQRコード、内部の小型部品にはDataMatrix、というように併用するケースもあります。
刻印品質の評価という考え方
二次元コードには、印字品質を客観的に評価する国際規格が定められています。特に金属への直接刻印については、専用の評価基準が用意されており、専用の検証機でグレードを判定します。
納入先から品質グレードの指定がある場合は、コードの種類だけでなく、素材・加工方法・セルサイズを含めた仕様の擦り合わせが必要です。発注段階でご相談いただければ、条件に合った加工方法をご提案します。
富山プレートの対応
富山プレートでは、ビーム径40μmの微細ファイバーレーザーによる二次元コードの刻印に対応しています。ステンレス・アルミ・鉄などの金属素材のほか、支給いただいた部材への直接刻印も承ります。
また、コードの内容が1点ごとに異なる場合も、版が不要なデジタル加工のため追加費用をかけずに対応できます。Excelのデータからのコード変換も可能ですので、番号リストをお送りいただくだけで製作に進めます。詳しくは可変データ刻印のコラムをご覧ください。
屋外で25年以上の耐候性が求められる場合は、メタルフォトによるコード銘板もご用意しています。測量機器メーカー様への納品実績があり、屋外での過酷な使用にも耐える仕様です。読み取り不良のトラブルについてはQRコードが読み取れない原因と対策で解説しています。
まとめ
QRコードとDataMatrixは、どちらが優れているというものではなく、刻印面積・読み取り環境・取引先の指定によって選ぶものです。面積が厳しくリーダーが整っているならDataMatrix、人が読む場面が多いならQRコードが基本の判断軸になります。
富山プレートは富山県上市町で、工作機械・制御盤・半導体製造装置向けの銘板と刻印を手がけてきました。どちらを選ぶべきか判断がつかない場合も、用途と使用環境をお聞かせいただければご提案します。お気軽にお問い合わせください。
QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。