レーザーを使った金属プレート印字の完全ガイド|方式の違い・素材適性・品質設計のポイント






レーザーを使ったプレート印字の完全ガイド|方式の違い・素材適性・品質設計のポイント





レーザーを使ったプレート印字の完全ガイド
―― 方式・素材適性・QR/DMの読み取り設計まで

最終更新:2025年9月3日|監修:株式会社富山プレート(1973年創業/非鉄金属精密薄板・各種銘板)


レーザー印字の実機サンプル(富山プレート/レーザーマーキング例)

レーザー印字が選ばれる理由

工業用プレート(銘板・配電盤ラベル・装置名板)では、可読性・耐久性・再現性・生産性が鍵になります。レーザー印字は非接触で版が不要、可変データ(連番・QR/DM)に強く、小ロットから量産まで一貫して適用できるのが強みです。

ポイント:屋外・薬品・摩耗環境が厳しい場合は、まずアブレーション(深彫り)を基準に検討すると設計が安定します。

主要方式の仕組みと特性

レーザー刻印(アブレーション)

熱エネルギーで表面を選択的に除去し、凹凸や白抜きコントラストで表示します。耐摩耗・耐薬品性に優れ、恒久表示に最適。

  • 長所:高耐久、微細文字・二次元コードに強い
  • 短所:鏡面材はハレーション対策が必要
  • 代表用途:金属銘板、装置名板、SUS配管タグ

アニーリング(酸化皮膜形成)

表面を削らず加熱し酸化皮膜の色調変化(黒〜茶)で表示。表面平滑性を維持でき、医療・食品のクリーン用途に適します。

  • 長所:表面が滑らか、異物リスク低
  • 短所:仕上げ状態でコントラスト差
  • 代表用途:工具識別、医療機器、食品設備

カーボン化(樹脂の黒発色)

樹脂中の炭素を析出させ黒色印字を形成。コントラストが高く、読取精度が求められる樹脂部品に向きます。

  • 長所:濃黒でQR/DMの読取性が高い
  • 短所:樹脂配合に依存、条件出し必須
  • 代表用途:電装部品、操作パネル

フォーミング(発泡・膨張)

樹脂内部のガス化で微細凹凸と白っぽい発色を作る方式。ラベル・筐体の樹脂銘板で広く使われます。

表面改質(変色・構造色)

微細構造や酸化状態を制御し、反射率や色相変化で可視化。意匠性重視のロゴやアルマイト品に有効。

アルマイト除去(アルミ陽極酸化皮膜の選択アブレーション)

着色アルマイト層のみを選択除去し地色とのコントラストで表示。浅加工で母材ダメージが小さいのが特徴。

素材別の適性(SUS/アルミ/樹脂)

SUS(ステンレス)

  • 推奨:アブレーション(深彫り)、アニーリング、表面改質
  • 注意:鏡面はサテン・ビーズショットでハレーション対策

アルミ(無垢/アルマイト)

  • 推奨:アブレーション(白抜き)、アルマイト除去、表面改質
  • 注意:皮膜厚・染色差で見え方が変わるため事前サンプル推奨

樹脂(アクリル・PC・POM・ABS 等)

  • 推奨:カーボン化、フォーミング、熱影響を抑えるならUVレーザー
  • 注意:反り対策に治具・低熱パラメータ・多パス薄掛け

QR・DataMatrixの読み取り設計

  • セルサイズ:用途に応じ0.2〜0.6mmを基準に。
  • クワイエットゾーン:周囲に十分な余白を確保。
  • コントラスト:金属は白抜き深彫り、樹脂は黒発色が有利。
  • 配置:段差・リブ・リベット近傍を避け、スキャナの視線を確保。

品質・耐久性評価と検査の要点

  • 耐摩耗:深彫りアブレーション > アニーリング≒表面改質 > カーボン化/フォーミング
  • 耐薬品:金属深彫りが有利。化学薬品はMSDSに基づき検討。
  • 外観検査:照明条件を規定(角度・照度)し、主観差を抑制。
  • コード検査:ISO/IEC 規格に準じたグレード評価を採用。

方式選定フローと見積の考え方

  1. 環境条件(屋外・薬品・温度・摩耗)を定義
  2. 素材・表面仕上げを決定(例:SUS304 2B / アルマイト黒)
  3. 要求寿命:恒久表示なら深彫りを優先
  4. 可変データ有無:QR/DMのサイズと位置を先に確定
  5. タクト:面積×塗り潰し率を最適化(ハッチ間隔・スキャン戦略)

よくある質問

Q. 医療・食品用途で表面をフラットに保ちたい

A. アニーリングをご検討ください。表面を削らずに表示でき、異物リスクを抑えられます。

Q. 屋外で長期的に読み取りたいQRコードは?

A. 金属では深彫りアブレーション(白抜き)、樹脂ではカーボン化(黒)が無難です。

Q. アルマイトの色差で仕上がりが不安定になる

A. ロットごとにサンプルで条件出しを行い、セルサイズや露光条件に余裕を持たせてください。

監修・編集体制(EEAT)

株式会社富山プレート(富山県中新川郡上市町/1973年創業)は、非鉄金属精密薄板加工・各種銘板・レーザーマーキング・UVインクジェット印刷に対応。ファイバーレーザー/UVレーザー等の設備と検査体制により、工業用途の恒久表示から意匠性重視のロゴまで幅広くサポートします。

編集責任:富山プレート 技術編集部|技術問い合わせ・図面の送付・量産相談は下記より承ります。

© 2025 株式会社富山プレート|本ページの内容は一般的な技術解説であり、最終仕様は実機サンプルでの評価に基づき決定してください。


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