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レーザーを使った金属プレート印字の完全ガイド|方式の違い・素材適性・品質設計のポイント

レーザーを使ったプレート印字の完全ガイド
―― 方式・素材適性・QR/DMの読み取り設計まで

レーザー印字が選ばれる理由
工業用プレート(銘板・配電盤ラベル・装置名板)では、可読性・耐久性・再現性・生産性が鍵になります。レーザー印字は非接触で版が不要、可変データ(連番・QR/DM)に強く、小ロットから量産まで一貫して適用できるのが強みです。
ポイント:屋外・薬品・摩耗環境が厳しい場合は、まずアブレーション(深彫り)を基準に検討すると設計が安定します。
主要方式の仕組みと特性
レーザー刻印(アブレーション)
熱エネルギーで表面を選択的に除去し、凹凸や白抜きコントラストで表示します。耐摩耗・耐薬品性に優れ、恒久表示に最適。
- 長所:高耐久、微細文字・二次元コードに強い
- 短所:鏡面材はハレーション対策が必要
- 代表用途:金属銘板、装置名板、SUS配管タグ
アニーリング(酸化皮膜形成)
表面を削らず加熱し酸化皮膜の色調変化(黒〜茶)で表示。表面平滑性を維持でき、医療・食品のクリーン用途に適します。
- 長所:表面が滑らか、異物リスク低
- 短所:仕上げ状態でコントラスト差
- 代表用途:工具識別、医療機器、食品設備
カーボン化(樹脂の黒発色)
樹脂中の炭素を析出させ黒色印字を形成。コントラストが高く、読取精度が求められる樹脂部品に向きます。
- 長所:濃黒でQR/DMの読取性が高い
- 短所:樹脂配合に依存、条件出し必須
- 代表用途:電装部品、操作パネル
フォーミング(発泡・膨張)
樹脂内部のガス化で微細凹凸と白っぽい発色を作る方式。ラベル・筐体の樹脂銘板で広く使われます。
表面改質(変色・構造色)
微細構造や酸化状態を制御し、反射率や色相変化で可視化。意匠性重視のロゴやアルマイト品に有効。
アルマイト除去(アルミ陽極酸化皮膜の選択アブレーション)
着色アルマイト層のみを選択除去し地色とのコントラストで表示。浅加工で母材ダメージが小さいのが特徴。
素材別の適性(SUS/アルミ/樹脂)
SUS(ステンレス)
- 推奨:アブレーション(深彫り)、アニーリング、表面改質
- 注意:鏡面はサテン・ビーズショットでハレーション対策
アルミ(無垢/アルマイト)
- 推奨:アブレーション(白抜き)、アルマイト除去、表面改質
- 注意:皮膜厚・染色差で見え方が変わるため事前サンプル推奨
樹脂(アクリル・PC・POM・ABS 等)
- 推奨:カーボン化、フォーミング、熱影響を抑えるならUVレーザー
- 注意:反り対策に治具・低熱パラメータ・多パス薄掛け
QR・DataMatrixの読み取り設計
- セルサイズ:用途に応じ0.2〜0.6mmを基準に。
- クワイエットゾーン:周囲に十分な余白を確保。
- コントラスト:金属は白抜き深彫り、樹脂は黒発色が有利。
- 配置:段差・リブ・リベット近傍を避け、スキャナの視線を確保。
品質・耐久性評価と検査の要点
- 耐摩耗:深彫りアブレーション > アニーリング≒表面改質 > カーボン化/フォーミング
- 耐薬品:金属深彫りが有利。化学薬品はMSDSに基づき検討。
- 外観検査:照明条件を規定(角度・照度)し、主観差を抑制。
- コード検査:ISO/IEC 規格に準じたグレード評価を採用。
方式選定フローと見積の考え方
- 環境条件(屋外・薬品・温度・摩耗)を定義
- 素材・表面仕上げを決定(例:SUS304 2B / アルマイト黒)
- 要求寿命:恒久表示なら深彫りを優先
- 可変データ有無:QR/DMのサイズと位置を先に確定
- タクト:面積×塗り潰し率を最適化(ハッチ間隔・スキャン戦略)
よくある質問
Q. 医療・食品用途で表面をフラットに保ちたい
A. アニーリングをご検討ください。表面を削らずに表示でき、異物リスクを抑えられます。
Q. 屋外で長期的に読み取りたいQRコードは?
A. 金属では深彫りアブレーション(白抜き)、樹脂ではカーボン化(黒)が無難です。
Q. アルマイトの色差で仕上がりが不安定になる
A. ロットごとにサンプルで条件出しを行い、セルサイズや露光条件に余裕を持たせてください。
監修・編集体制(EEAT)
株式会社富山プレート(富山県中新川郡上市町/1973年創業)は、非鉄金属精密薄板加工・各種銘板・レーザーマーキング・UVインクジェット印刷に対応。ファイバーレーザー/UVレーザー等の設備と検査体制により、工業用途の恒久表示から意匠性重視のロゴまで幅広くサポートします。