ファイバーレーザーとCO2レーザーの違い|得意な素材・精度・用途を比較
ファイバーレーザーとCO2レーザーの一番の違いは、レーザー光の波長です。波長が違うと素材への吸収のされ方が変わるため、ファイバーレーザーは金属、CO2レーザーは樹脂や木材などの非金属を得意とします。この記事では、両者の違いを5つの観点で比較し、素材や用途ごとの選び方を、両方のレーザーを使い分けている銘板メーカーの立場から解説します。
ファイバーレーザーとCO2レーザーの違い(5つの比較)
1. 波長
- ファイバーレーザー:約1μm(1,060nm前後)の短い波長
- CO2レーザー:約10.6μmの長い波長
波長がおよそ10倍違うことが、以下のすべての違いの出発点になります。
2. 得意な素材
- ファイバーレーザー:ステンレス、アルミ、真鍮、銅、チタンなどの金属。一部の樹脂にも使える
- CO2レーザー:アクリル、塩ビ、木材、紙、革、布、ガラスなどの非金属。金属にはほとんど吸収されない
3. 加工精度
- ファイバーレーザー:波長が短いぶんビームを細く絞れるため、小さな文字、目盛り、2次元コード、微細な穴や形状の切り抜きに向く
- CO2レーザー:ファイバーほど細くは絞れないため、微細加工よりも樹脂の切断や彫刻に向く
4. 熱の影響
- ファイバーレーザー:金属の狭い範囲にエネルギーを集中させるため、周囲への熱影響を抑えやすい
- CO2レーザー:樹脂の表面でよく吸収されて熱が広がる。アクリルを切断すると切断面が溶けて滑らかになる一方、細かい部分は熱でだれやすい
5. 主な用途
- ファイバーレーザー:金属銘板への刻印、シリアル番号やQRコードの印字、シムなど薄板部品の切断、目盛り板やエンコーダの精密パターン
- CO2レーザー:アクリル銘板や樹脂カバーの切断、二層板の彫刻、木製・革製品への刻印
素材別の選び方
ステンレス・アルミ・真鍮などの金属
ファイバーレーザーを選びます。刻印、黒色のマーキング、薄板の切断まで対応できます。素材ごとの注意点はステンレスのレーザーマーキングと錆やアルミへのレーザーマーキングで解説しています。
アクリル・塩ビ
切断や彫刻はCO2レーザーが基本です。アクリルはファイバーレーザーの光をほとんど吸収しないため、ファイバーでは加工が難しい素材です。樹脂銘板の選び方は樹脂銘板(アクリル・二層板)の選び方をご覧ください。
ABS・ポリカーボネートなどの樹脂部品への印字
細かな文字やロット番号の印字ではファイバーレーザーを使うこともあります。ただし樹脂は材質や色、添加剤によって反応が大きく変わるため、実物での試し打ちが確実です。詳しくは樹脂・プラスチックへのレーザー刻印で解説しています。
塗装品・アルマイト品
塗膜やアルマイト皮膜を取り除いて下地の色を出す加工には、ファイバーレーザーがよく使われます。塗装面への加工は塗装済み部品へのレーザーマーキングで紹介しています。
レーザーマーキングの3つの表示方法
どちらのレーザーでも、文字の出し方は大きく3つに分かれます。
- 表層の除去:塗装や印刷、アルマイトなど表面の層を取り除き、下地の色とのコントラストで表示する
- 彫り込み(刻印):素材の表面を削って文字や図形を彫る
- 発色:レーザーの熱で表面の色を変えて表示する。ステンレスの黒色マーキングなど
同じ「黒い文字」でも方式によって耐久性や見え方が変わります。違いはレーザーマーキングの「黒」は3種類あるで解説しています。
富山プレートのレーザー設備と使い分け
富山プレート(富山県上市町)では、ファイバーレーザーとCO2レーザーの両方を保有し、素材と用途に合わせて使い分けています。
- 微細ファイバーレーザー加工機(ビーム径40μm):板厚0.01mmからの金属薄板の切断、精密パターン加工
- ファイバーレーザーマーカー:金属銘板への刻印、黒色マーキング、QRコードやシリアル番号の印字
- CO2レーザー加工機:アクリルや塩ビなど樹脂銘板の切断・彫刻
「金属の銘板にアクリルのカバーを組み合わせたい」「樹脂部品に番号を入れたいが、どちらが向くか分からない」といった場合も、素材と使用環境をお聞きして加工方法をご提案します。薄板部品の工法そのものを比較したい場合は薄板部品の工法比較を、お手持ちの部品への刻印は支給材への刻印サービスをご覧ください。